バリアフリーリフォームは、長い人生の中で起こる身体の変化に柔軟に対応し、家庭内での事故を未然に防ぐことで、安全で快適な暮らしをするための住宅改修です。年齢を重ねても住み慣れた家で暮らし続ける「終の住処」を目指す方にとっては重要な選択肢でもあります。
今回はバリアフリーリフォームをする際のポイントについて解説します。
- 安全性を高められる
段差や滑りやすい床など、家の中には転倒やケガにつながる危険が潜んでいます。様々な危険を解消することで、生活の中で安全性を高めることができます。 - 快適な生活
移動しやすい間取りや、使いやすい設備を整えることで、家事や日常生活の負担を軽減できます。 - 家族の安心感
高齢の家族が安全に暮らせる住まいは、離れて暮らす家族にとっても安心材料となります。 - 介護のしやすさ
将来的に介護が必要になった場合も、バリアフリーの住まいは介護者の負担を軽減し、スムーズなケアにつながります。
1. 段差の解消
- 各部屋の敷居や玄関の段差をなくすか、スロープを設置します。
- トイレや浴室などの床もフラットにして、つまずきのリスクを軽減します。
2. 手すりの設置
- 玄関、階段、廊下、トイレ、浴室などに手すりを設置し、移動や立ち上がりをサポートします。
- 基本的に手すりは床から75㎝くらいの高さに付けますが、使う人の身長や使い方に合わせた位置に取り付けることが重要です。
手すりを使う目的は、歩行を補助するため・動作を補助するための2種類あります。
歩行を補助する手すりは廊下などに沿って水平型の手すりを設置します。
トイレや浴室など立ち座り等のサポートが必要な場所ではI字型、L字型の手すりを設置します。
高齢者が使う手すりの場合、手すりの位置がはっきりとわかるように、壁の色と明るさや色味が異なる色の手すりを選ぶのがおすすめです。
3. 滑りにくい床材への変更
- 廊下や水廻り、玄関などには滑りにくい素材の床材を採用します。
- 浴室は水はけ・清掃性が良く、万が一転倒した場合でも衝撃を和らげる素材がおすすめです。
- トイレや洗面脱衣室にはクッションフロアがおすすめです。ビニール製なので耐水性、メンテナンス性に優れ、フローリングよりも安価になります。
バリアフリーリフォームで床材を選定する際は、滑りにくく、メンテナンスしやすいものを選ぶようにしましょう。車いすを使用する場合は、耐久性があるかというのも重要なポイントです。
4. 広い動線の確保
- 車いすや歩行器を利用する場合を想定して通路幅や出入口は80cm以上にしておくと安心です。
- ドアを引き戸にすることで、開閉をスムーズに行えます。
扉のバリアフリー化で引き戸にする場合、上吊りタイプがおすすめです。上吊りタイプは床にレールが不要で、車いすでの移動がしやすく、わずかな段差につまずく心配もありません。
5. キッチンの改修
- 座ったまま調理できる高さに調整したり、シンクや調理台の下に足を差し込めるタイプのキッチンを選ぶことができます。
- 収納は手の届きやすい場所に設けます。昇降機能付きの吊り戸が便利です。
- ガスよりも火を使わないIHクッキングヒーターを選ぶことでやけどや火事のリスクを軽減できます。
6. トイレの改修
- トイレの広さは約1畳くらいが一般的ですが、車いすや介助が必要な場合はトイレを拡張する必要があります。
- 立ち座りをサポートする便座用手すりや、便座が自動で昇降するトイレリフトを設置。
- 手洗いは、屈む動作の負担を軽減するため、便器に備え付けられたタイプよりも独立した手洗い器を設置する方が望ましいです。
車いすを回転させるには最低でも1.5m×1.5mのスペースが必要になります。介助者も一緒に入り動作のサポートを無理なく行うには1.8m×1.8mくらいの広さが確保できるとよいでしょう。
トイレは他の場所に比べてスペースが限られるため、無駄な動作をできるだけ省くことが大切です。そのため、「トイレに入る → 座る → 立つ → 出る」という一連の動作を想定し、それに基づいて便器・手洗い・出入口などの位置を計画します。
7. 浴室の改修
- 浴槽の深さを低くする(40㎝以下)ことで、またぎやすくなります。
- 手すりの設置位置は、下記のような場面を参考に複数個所設置しておくと安心です。
①浴室の出入口 ②洗い場の移動 ③洗い場の立ち座り
④浴槽に出入り ⑤浴槽内での立ち座り
- ヒートショック対策として浴室暖房機の設置や、ひんやりと感じにくい床材の選定、断熱工事が効果的です。
厚生労働省の統計によると、家庭内の事故による死因で最も多いのが、「不慮の溺死及び溺水」だそうです。
その原因の多くが浴室で起きるヒートショックで、あたたかい部屋から寒い浴室に入る際に血圧が急激に変化する事で失神や脳梗塞の原因となり、不慮の事故へとつながります。
家の中の温度差をなくすことも、バリアフリーの一環として考えるべきポイントです。
7. 玄関の工夫
- どうしても段差ができてしまう玄関は、スロープの設置や、手すり付きの玄関台を導入。
- 自動ドアやキーのデジタル化で利便性を向上。
- 玄関戸は引き戸がおすすめです。車いすでも開け閉めがしやすくなります。
バリアフリーリフォームをする上で大切なのは、利用者の身体や生活に合った設計をすることです。どのようなバリアフリーリフォームが合っているかは利用者の状況によってそれぞれです。身体の状態、体格、年齢、家族構成や住む人の体力、将来的な介護の有無などを考えて、使いやすい仕様にすることが大切です。家全体を一度にリフォームするのが難しい場合は、玄関、トイレ、浴室など、優先度の高い場所から始めるのがよいでしょう。
国や自治体からの補助金を活用することで、費用負担を軽減できます。介護保険制度を利用して、一定の条件を満たせばリフォーム費用の一部が給付される場合もあります。
島根県のリフォームで使える助成金で、「しまね長寿・子育て安心住宅リフォーム助成事業」というものがあります。この助成金事業では【バリアフリー改修】に対する助成も行っており、年齢が60歳以上の方または身体障がい者が居住する住宅において、一定の条件を満たせば一戸あたり上限25万円(助成対象工事費40万円以上の工事が対象)の助成を受けることができます。
助成対象となる工事には、
引き戸の建具への取替、玄関ポーチにスロープを設置、滑りにくい床材への改修、レバー式水栓・自動温度調整付き水栓を設置なども含まれます。(※改修後には住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づいて定められた『整備基準』に適合するものであること)
ぜひ利用できる制度は利用して、少しでもお得にリフォームされることをおすすめします。
詳しくは過去にこちら👇の記事にまとめているので、チェックしてみてください。
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