新築やリフォームで窓の設置を検討する時に、どんな窓にするか悩む人も多いのではないでしょうか。今回は窓の基礎知識として、窓の種類について解説していきます。
引き違い窓は2枚のガラスを左右にスライドさせることで開閉できる窓です。
日本では昔から最も使われている窓の一種で、採光や通風にも優れています。
防犯対策として窓の外側に面格子を付けることができます。
画像引用:YKKap
メリット
・引き戸タイプなので開け閉めしやすい
・サイズ展開が豊富で大きな開口をとるのに優れている
・開き具合を調節できて換気しやすい
デメリット
・ガラス面が大きくプライバシー・防犯面に配慮が必要
・ガラスをスライドさせるための戸車によって隙間ができるため滑り出し窓より気密性が下がる
おすすめの場所
リビング、寝室、和室、キッチン、洗面脱衣室、トイレ
引き違い窓は大きな開口を取りやすいので、一つの窓でしっかりと光を取り入れたい・通風を確保したい、という場所におすすめです。
ただし、開口が大きくなる場合は設置する場所に注意しないと、外部からの視線が気になる場合があるので注意します。
施工事例
たて滑り出し窓は、縦方向を軸にドアのように外側に向かって開く窓の事です。サイズ展開は小さいものが豊富で、コンパクトな場所でも設置することができます。レールの上を戸車で滑らせる引き戸タイプの窓よりも、すき間が少ないため気密性が高くなります。たて滑り出し窓単体では構造上大きなサイズは選べませんが、FIX窓と組み合わせた2連窓、3連窓なら大きな開口もつくることが出来ます。
画像引用:YKKap
メリット
・小さめのサイズ展開なのでコンパクトな場所でも設置できる
・正面だけでなく壁面に沿って流れる風も取り込むことができるため通風の確保に優れている
・閉じた時の隙間が少なく気密性が高い
・窓が最大90度まで開くため窓の外側の掃除がしやすい
デメリット
・強風で開けにくかったり、勢いよく閉まることがある
・窓の外側に面格子などが付けられない
おすすめの場所
リビング、寝室、キッチン、洗面脱衣室、ランドリールーム、トイレ、玄関、階段
コンパクトで機能性の高いたて滑り出し窓はほとんどの場所におすすめです。
湿気のこもりやすい場所での通風や、プライバシーが気になる場所の採光としても役立ちます。同じ壁面にたて滑り出し窓の開く方向を左右逆にして設置すると、一方は風を取り込みもう一方で風を逃がす、つまり「風の流れ」をつくることができます。大きな引き違い窓を設置するよりも省スペースで効率よく通風できるので、通風をしっかりととりたい場合は窓の勝手(開き方向)も考慮するのが◎です。一つの窓で風の流れをつくる「ウィンドウキャッチ連窓」もおすすめです。
たて滑り出し窓は縦長でスタイリッシュな見た目なことから、デザイン性を重視したい場合にもおすすめです。
施工事例
よこ滑り出し窓は、横方向を軸に押し開く窓のことです。サイズや機能性はたて滑り出し窓とほぼ同じですが、開けた時の形状がひさしのようになるので、窓を開けた状態で視線や雨を遮ることが出来ます。よこ滑り出し窓単体では構造上大きなサイズは選べませんが、FIX窓と組み合わせた2連窓、3連窓なら大きな開口もつくることが出来ます。
画像引用:YKKap
メリット
・小さめのサイズ展開なのでコンパクトな場所でも設置できる
・閉じた時の隙間が少なく気密性が高い
・窓が最大90度まで開くため窓の外側の掃除がしやすい
・窓を開いた状態でも雨が入り込みにくく視線も遮る事ができる
デメリット
・たて滑り出し窓に比べると風を取り込みにくい
・窓の外側に面格子などが付けられない
おすすめの場所
リビング、キッチン、寝室、洗面脱衣室、トイレ、玄関、階段
コンパクトで視線を遮る事のできるよこ滑り出し窓は、大きな窓が付けられない場所や視線が気になる場所におすすめです。また、高所用のよこ滑り出し窓を使えば家具等を置く場所を塞がず、防犯面も安心です。さらに、暖かい空気が上に行く性質を活かして重力換気ができるので洗面脱衣室やキッチンにもおすすめです。高所用タイプは、手の届く位置まで長さのあるオペレーターまたはリモコンで開閉が出来るようになっています。
施工事例
滑り出し窓の開閉パターンは2種類あります。
① カムラッチハンドル・・・ドアの様にレバーを押す・引くで開閉する
② オペレーターハンドル・・・レバーをくるくると回して開閉するどちらの開閉パターンにするかは、設置する場所や用途によって選択します。
例えば窓の手前に家具等を置く場合だったり、トイレの便器背面に窓を付ける場合は、①だと奥まで手を伸ばさなくてはいけなくなり開閉しづらいので②がおすすめです。また子供の開閉の際の転落が心配な場合も②にしておくと安心です。ただ②は、ハンドルの出っ張りがあるためホコリが溜まりやすいという点もあります。
ちなみに、すべり出し窓は引き違い窓などと違い、網戸がカラスの内側に付きます。
① はチェーンや手動で動かす横引きor上げ下げ網戸、②は固定網戸になります。
固定網戸だと、網戸が閉まった状態で窓を開けられるので虫が入りにくいです。
清掃の点で見ると、②は窓ガラスを拭く前に固定網戸を外す手間があります。
どちらも良い点はあるので、実際の生活をイメージして、どちらにするか検討することをおすすめします。
掃き出し窓とは、下部分が床に接しており、人が出入りできる大きな窓のことです。かつて、ほうきでごみを外に掃き出していたことから由来しています。バルコニーやベランダにつなげて設置することも多く、テラス戸とも呼ばれています。近年は勝手口を設けない家も増えているため、玄関以外に外へアクセスできる掃き出し窓があると便利です。
開き方は引き違い・片引きタイプが一般的によく使われます。他には大開口かつ全開できる引き込みタイプや折りたたみタイプもあります。
画像引用:YKKap
メリット
・採光・通風に優れている
・人の出入りがしやすく大型家具などの搬入出にも役立つ
・避難経路として使える
デメリット
・ガラス面積が多く防犯・プライバシー面に配慮が必要
・窓の前に家具や物を置けない
おすすめの場所
リビング、ベランダやバルコニー
採光や通風に優れた掃き出し窓は、リビングに設置するのがおすすめです。
また南面に設置することで、一年を通して採光がとりやすく、部屋が明るくなります。
ただしデメリットでも挙げていますが建物の周辺環境(隣家との距離や前面道路など)によっては視線が気になったり防犯面が心配なこともあるため、その場合は配置に注意します。逆に西側は、夏は特に強い西日が入るためガラスが大きな掃き出し窓はあまり向きません。
施工事例
上げ下げ窓は、2枚のガラスを上下に動かして開けるタイプの窓です。下側のみ動く「片上げ下げ窓」、上下のガラスが動く「両上げ下げ窓」があります。欧米では上げ下げ窓が主流になっています。
画像引用:YKKap
メリット
・引き違い窓のように戸車がついておらず気密性が高い
・縦長の形状により防犯性に優れている
・デザイン性が高く海外のような装飾的な窓にすることができる
・両上げ下げ窓なら上と下で空気の流れを作ることができるため換気しやすい
デメリット
・窓の外側の掃除がしにくい
・窓を持ち上げて開けるため、開け閉めしずらい
・上下に開閉する窓のため合うカーテンが少ない
おすすめの場所
リビング、キッチン、寝室、洗面脱衣室、玄関
上げ下げ窓は、光を取り入れつつ換気ができるためさまざまな場所におすすめです。
また欧米でよく使われている上げ下げ窓は、海外風のデザインにする場合にもよく使われています。デザインを重視して上げ下げ窓を取り入れるのもひとつです。
ただ、ガラスを上に持ち上げて開閉するため、頻繁に開け閉めする場所にはあまり向きません。
画像引用:YKKap
FIX窓とは、ガラスが固定されていて開閉できない窓のことです。はめ殺し窓とも呼ばれています。主に採光や眺望を目的として設置する窓ですが、大きなものから小さなものまでサイズ展開が豊富で、丸や台形など装飾的な形のものもあることから、外観デザインのアクセントとして使われることも多いです。
画像引用:YKKap
メリット
・大きな開口が取れるので、採光に優れている
・サイズ展開が豊富で設置する場所を選ばない
・外観デザインのアクセントとして取り入れられる
・窓の真ん中にフレームがなく眺望を邪魔しない
・戸締りが不要で防犯しやすい
デメリット
・通風・換気ができない
・窓の外側の掃除がしにくい
おすすめの場所
リビング、寝室、和室、キッチン、洗面脱衣室、トイレ、玄関、階段
FIX窓はサイズの自由度が高いため、家の中のほとんどの場所におすすめです。ただ窓を開けて換気などはできないため、必要であれば開けられる窓も合わせて設置するとよいでしょう。近隣との距離や構造的な理由で壁に窓を設置することが難しい場合は、天井から光を取り入れられる天窓という選択肢もあり、FIX窓がよく使用されています。
プライバシーが気になる場所では、縦長や横長のスリット状にしたり、床面に接して取り付ける「地窓」にすることで、外からの視線を入りにくくすることができます。また地窓は、地面に近いことから庭を眺める目的で設けることもあります。
施工事例
まとめ
窓の計画をする際は各種窓の特徴を理解し、用途や設置場所に応じて窓を選ぶことが大切です。デザイン性、機能性、防犯性など、さまざまな観点から検討して、ライフスタイルに合う窓を選んでください。