家づくりやリフォームを考える際、断熱材の選択は重要なポイントです。断熱材は、室内の温度を一定に保ち、エネルギー効率を高めるために欠かせない建材です。選び方によっては、夏の暑さや冬の寒さを快適に過ごせるだけでなく、冷暖房費の節約にもつながります。しかし、断熱材にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる特徴があるため、どれを選ぶべきか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、主な断熱材の種類について解説します。
・発泡ポリスチレン(EPS, XPS)
(画像引用:スタイロフォーム デュポン・スタイロ株式会社)
EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム):小さなビーズ状の発泡体を成形して作られたものです。発泡スチロールと同じ素材で、軽量で加工しやすく耐水性に優れます。
XPS(押出法ポリスチレンフォーム):ポリスチレンに、発泡剤や難燃剤などを混ぜてボード状に押出形成したものです。より高密度で水や湿気に強く、形が崩れにくいです。熱伝導率が低く断熱性能にも優れます。よく使われる商品では「スタイロフォーム」などがあります。
発砲ポリスチレンは、そのままだと熱に弱く溶ける性質をもっているので、難燃剤を混ぜて改良している商品が多くあります。
・硬質ウレタンフォーム
(画像引用:ウレタンフォーム工業会)
ポリウレタン樹脂と発泡剤などを混ぜたものです。施工する場所に吹き付けるタイプとボード状になっているタイプがあります。独立した微細な気泡の中に熱伝導率が極めて小さいガスを閉じ込めているため断熱性能に優れています。水や湿気にも強いです。多くの材料と接着することが可能なので複雑な構造物でも、隙間の無い断熱層を作りやすいです。
・フェノールフォーム
(画像引用:ネオマフォーム 旭化成建材)
フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を混ぜてボード状に形成したものです。
熱伝導率は0.020 W/m・Kと他の断熱材よりも低く、高い断熱性能があります。また非常に燃えにくく、炎に当たると表面が炭化し煙や有毒ガスが発生する心配もほとんどありません。高性能なためコストは高めです。
・グラスウール
(画像引用:マグ・イゾベール株式会社)
ガラスを繊維状に加工したものです。軽量で加工がしやすく、低コストです。ボード状、フェルト状のものがあります。ガラスを主成分とする無機質のため、燃えにくく、火災時にも延焼を防ぐ効果があります。グラスウールはそのままでは水分を吸収しやすく、湿気がこもりやすい場所では水分の重さによってよれたりしてしまうなど断熱性能が低下することがあります。湿気対策や防湿シートの併用が重要です。
・ロックウール
(画像引用:JFEロックファイバー株式会社)
火山岩や鉄鉱石のスラグなどの鉱物を高温で溶かし、繊維状に加工したものです。非常に燃えにくく、1,000℃以上の高温にも耐えられます。グラスウールと同様に低コストです。湿気や腐食に強く、耐久性にも優れます。ロックウールは重く脱落しやすいため、施工時に注意が必要です。
・セルロースファイバー
新聞紙などを原料とした断熱材です。シートを張った所に、ホースからすきまなく充填する工法です。繊維状の構造で多くの空気を含むため、断熱性と吸音性に優れています。また環境に優しく、製造から廃棄までのライフサイクルでのエネルギー消費が少ないため、エコな断熱材としても注目されています。調湿性能も持つため、結露を防ぐ効果も期待できます。また難燃処理(ホウ酸処理)が施されており、火に強く燃えにくい性質を持っています。ホウ酸処理は防虫・防カビ効果もあり、害虫やカビによる劣化を防ぎます。施工には専門の技術を持った職人さんが必要となり、コストは比較的高くなりやすいですが経年劣化がなく半永久的に断熱性能が保たれます。
・羊毛
(画像引用:ウールブレス 株式会社アイティーエヌジャパン)
羊の毛(ウール)を主原料とした自然素材の断熱材です。調湿性や断熱性に優れており、また自然素材であるため環境にもやさしいのが特徴です。羊毛断熱材は、特に環境に配慮した建築やエコハウスなどで人気が高まっています。天然素材のため、他の断熱材に比べ高価になります。
・コルク
(画像引用:炭化コルク 東亜コルク株式会社)
コルク樫の木の樹皮を原料にした自然素材の断熱材です。コルクは独特の細胞構造により、優れた断熱性と防音性を持っています。また湿気や害虫にも強いです。希少性が高く他の断熱材に比べ高価になります。
断熱材には様々な種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。断熱材というとやはり断熱性能が気になる所ですが、それだけではなく、施工性(しっかりと気密が取れるか)、耐久性、コスト、環境への配慮なども考慮しながら断熱材を選ぶようにしましょう。
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